このページでは、昭和5年(1930)に出版された『全国遊廓案内』の中から、『高知縣』に存在した遊廓を説明します。
高知市石井町玉水新地遊廓は高知市石井町字玉水新地にあつて、鐵道は高知線高知驛で下車すれば約十五丁、驛から西南の方向に當る。又、高知線旭驛で下車する時は。東方約五町位の處にあるので、旭驛下車の方が便利である。若し高知驛より乗合自動車を利用する場合は本町筋五丁目の停留場で下車すれば可し。
明治五年に初めて許下を得て遊廓を開始して、現今に到つたものであるが、現在では遊廓の貸座敷数総軒数は二十七軒、娼妓は二百二十四人居り、送り込み制でなく、全部居稼ぎ制である。店は主に寫眞制であって、大阪式時間制が普通である。客の廻しは取らない。遊興費は一時間遊びは約一圓八十錢で、泊り込みは遊興税含みで六圓五十錢位である。即ち最低一圓八十錢位より上は六圓五十錢位迄となる譯である。特殊の情緒は、土佐の風習として遊興の際或は其の他種々の酒宴の場合には「箸けん」と云ふのをやる習慣があって、非常に興のあるものである。
土佐民論「土佐はよい國南を受けて薩摩嵐がそよそよと。土佐の高知の播磨屋橋で、ボサン、かんざしを買ふを見た」。
妓樓は、福徳樓、第五玉の尾樓、龍璃樓、吉川樓、玉の尾樓支店、澤山樓、扇亭、岡田樓、相生樓、丸太樓、三浦潟樓、藤井樓、進歩樓、高勢優、第二澤山樓、松榮樓、錦樓、丸井樓、松ケ枝樓、紅梅樓、松軒樓、金泉樓、字喜世樓、玉光樓、丸藤樓、大山樓、明治樓、の二十七軒である。
宿毛町遊廓は高知縣宿毛町宿毛新地に在つて高知線須崎驛港から宿毛迄汽船で行く貸座敷の軒数は二軒、娼妓は約十人居る。九州地方の女が多い。店は寫眞式で陰店も張ってある。遊興は時間制又は通し花制で廻しは取らない。娼妓は居稼ぎ制で送り込み制では無い。費用は一時間遊びが一圓二三十錢位。十二時迄は三圓、引過ぎは二圓五十錢、通し花は五圓位で、何れも臺の物は附かない。
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